歯科医療の疑問集 |
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最終更新日 2008/11/03 |
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長年歯科医師をやっていても、即答できない素朴な疑問のコーナーです。
| 1 歯科の診療範囲とは | 2 一部負担金は必ず徴収しなければならないか |
| 3 歯科衛生士の職務範囲とは | 4 診療関係の帳票の保存期間 |
| 5 カルテはどの様なときに提出しなければならないか | 6 生保患者の自費診療 |
| 7 カルテは誰のものか | 8 個人輸入医薬品は診療に使用できるか |
| 9 企業検診に出向くときの注意 | 10 歯科医師の守秘義務 |
| 11 技工物の海外発注は可能か? | 12 医療用医薬品の零売は可能か? |
一般歯科は、主として歯牙と歯肉・顎骨・口腔粘膜を診療の対象としますのでわかりやすいですが、では口腔外科の診療対象と言われて?
(歯科口腔外科の診療領域)
標榜診療科としての歯科口腔外科の診療領域の対象は、原則として口唇、頬粘膜、上下歯槽、硬口蓋、舌前3分の2、口腔底に、軟口蓋、顎骨(顎関節を含む)、唾液腺(耳下腺を除く)を加える部位とする。
出典・第2回「歯科口腔外科に関する検討会」議事要旨(平成8年5月16日)
注:青本12年度版P190に以下のような文がある。
◇ 口腔組織にささっている魚骨等の異物を除去した場合は区分「IO19」歯冠修復物又は補綴物の除去の「1」又は「2」を準用して算定して差し支えない。なお、咽頭に及ぶものを除去した場合は、医科点数表の区分「K369」咽頭異物摘出術の「1」を準用して算定する。(昭63.5.30 保険発53)
ここでは咽頭に対する処置も歯科の診療対象として点数化(医科準用ではあるが)されている。これは上記の記述とやや矛盾するようにみえるが、この場合の解釈は口腔内から咽頭に及ぶものを対象にしており、咽頭だけにある異物の除去は歯科の診療範囲となるので注意が必要であろう。
99年の春あたりであったろうか、某歯科月刊誌のQ&Aのコーナーに以下のような文があった。ちなみに筆者は弁護士だったようであるが、
「前略・・しかし,患者の支払う一部負担金については,健康保険法では“患者の支払い義務”とされており,医療側に徴収義務があるわけではありません.したがって,医療側が患者の支払い義務を免除することは法律上は可能ということになり,一部負担金の値引きは違法とはいえないのです・・後略」
この文からすると、一部負担金を徴収しないでダンピング治療において集客することも可能と思いかねない。
上記のうち、患者の一部負担金支払い義務は「健康保険法第43条の8(1)(一部負担金)」に明確に記載してある。
一方、「健康保険法第43条の8(2)(一部負担金)」には、『(2)保険医療機関又は保険薬局は一部負担金の支払いを受けるべきものとし、・・・以下略』と記載してあり、どう解読しても「一部負担金をもらうべき」と言う意味に見える。
結論 一部負担金は受領しなければならない。 出典 健康保険法第43条の8(2)(一部負担金)・保険医療養担当規則第5条
参考通達(昭35.2.24 保険発24) (3) 療養取扱機関は、一部負担金の収納義務の履行に努力すること。
皆さん歯科衛生士の職務範囲を正確に把握していますか?歯科衛生士法には以下のように記載してあります。
第2条(定義)
この法律において「歯科衛生士」とは、厚生大臣の免許を受けて、歯科医師(歯科医業をなす事のできる医師を含む。以下同じ。)の直接の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする女子を言う。
一 歯牙露出面及び正常な歯茎の遊離縁下の付着物及び沈着物を機械的操作によって除去すること。
二 歯牙及び口腔に対して薬物を塗布すること。
2 歯科衛生士は保健婦助産婦看護婦法第31条第1項及び第32条の規定にかかわらず、歯科診療の補助をなすこと業とする事ができる。
3 歯科衛生士は、前2項に規定する業務のほか、歯科衛生士の名称を用いて、歯科保健指導をなすことを業とすることができる。
このことから、歯科衛生士の職務範囲は「歯牙及び口腔の疾患の予防処置」としての
(1) ZS病名の除石・着色除去等
(2) F等の薬物塗布
(3) 歯科診療補助
(4) 歯科保健指導
ということが言えそうです。問題は(3) 歯科診療補助の内容にどの様なものが含まれるか?これが問題です。
以下のページに歯科衛生士の診療補助に関する解説が記載されていますので御参考に。 ![]()
| 診療録(カルテ) | 5年間(歯科医師法 第23条) | 診療完結の日から |
| 5年間(療養担当規則 第9条) | ||
| 診療に関する諸記録 | 2年間(医療法施行規則第20条第12項) | 処方箋・検査所見記録・X線写真 等 |
| 帳簿などの保存 | 3年間(療養担当規則 第9条) | |
| レントゲンフィルム | 2年間(医療法施行規則 第6条)・医療資料として | |
| 3年間(療養担当規則 第9条)・保険医療資料として | ||
以上は医療の記録としての医療関係諸法に基づく規則である。
しかし診療行為は民法で言う準委任行為としての側面を持つ。そこで民法という観点、特に民事訴訟の証拠としての面から考えると、民法724条の損害賠償請求権の時効(3年又は20年)までの期間保存する必要が生じる。しかし実際問題として20年経過してから訴訟が起こされることはなく、通常は10年以内がめどとされる。
一方刑法の観点から見ると、医療事故は「業務上過失致死(刑法第211条)」でありその最高刑は懲役5年である。そして刑事訴訟法第250条により、「公訴時効期間」は3年とされており、歯科医師法上の保存期間を満たせば問題はない。
5 カルテはどの様なときに提出(提示)しなければならないか 参考
6 生活保護指定医療機関の療養担当規則 (現在調査中)
生活保護指定医療機関において、生活保護患者の診療に際してもし自費診療を希望された場合どう対処したらよいか?
この点について担当自治体に現在照会中である。それに対して現在入手している回答は、「生活保護患者に対して自費診療は認めていない。」と言う内容である。これは生活保護の給付の趣旨からすれば当然のことである。しかし、一方もし生活保護患者に対して自費診療を行った場合の、指定医療機関に対する対応については明らかにされていない。つまり自費診療を行うことが療養担当規則においてどの様な扱いになるのかと言うことであり、現在回答待ちの状態である。
カルテは誰のものかと言うことを考える場合には、カルテ(診療録)の所有権と言う観点とその中に記載された医療情報に分けて、考えなければならない。
またカルテ全般に言えることであるが、その記載方法や記載内容については特段の定めは見られない。
しかし、保険診療のカルテにおいては、保険医療養担当規則に様式の定めがあり、患者情報(保険資格など)を中心として記入すべき内容が定められているが、特に定められた事項を除いてはカルテの記載内容を拘束するものとはされていない。
また準委任契約に基づく医師の委任者(患者)に対する報告義務の内容も特に定められてはいない。しかし、診療契約を円滑に遂行させるために、診療情報の開示は重要なポイントである。
カルテのの開示の目的は「医療紛争を前提」「医師・患者間の信頼関係強化」の2点から考えられるが、特に「医師・患者間の信頼関係強化」のために積極的に開示すべき方向で考えなければならないであろう。
ただし、診療録に書かれた内容の全てを開示する必要はなく、場合によっては診療内容の要約としてと言う開示方法もあり得る。
結論 カルテの所有権は医療機関に属し、その中に記載された医療情報は医師及び患者の共有に属すると言う考え方が妥当と思われる。
これはあくまでも考え方の結論である。
しかしカルテといったものの所有権については法的解釈として確認されているものは以下のものしか知らない。
昭和61年の東京高裁判例:所有権も閲覧請求権も無い
# ただし平成17年4月1日の個人情報保護法の施行を期に、カルテの閲覧請求権が事実上発生したものと思われる。
医薬品を個人で輸入する事が可能である。(個人輸入の詳細)
しかしこれらの個人輸入した医薬品(材料)を通常の臨床に使用して良いのかと言う見解にはあまりお目にかかることはない。そこで調査した結果、おぼろげながら以下のような見解にたどり着いた。おおむねの目安にはなるであろう。
(1) 日本の薬事法を通っている海外医薬品を個人輸入して臨床に使用することは適法。
(2) 日本の薬事法を通っていない海外医薬品を個人輸入して臨床に使用することは違法。
(3) 日本の薬事法を通っている海外医薬品を個人輸入して保険診療に使用する事は違法。
特に(3)については、厚生省の審議会でもこれが議論されて、将来は解らないが現在は認めないと言う答弁がなされています。審議会の内容によると、認可医薬品の個人輸入は主として内外価格差が原因であり、その価格差を何とかする方が先と言うようである。
なおこれらの疑問に対して出されている厚生省からの通知です。
「昭和61年6月13日付厚生省薬務局監視指導課」
3.医師個人用として輸入する場合
(1)無承認・無許可医薬品等の輸入が医師個人でできる場合は、治療上緊急性がある場合であり、国内に物の代替品が流通していないこと及び有効性、安全性が外国で確認されていることなどが前提であります。場合によっては、その事実を確認させていただくことがあります。
(2)略
(3)輸入された医薬品は等は、無承認無許可でありますので、患者に使用した場合は保険適用になりませんから医師から委任を受けた輸入関税業者等は、この旨を当該医師に十分伝えてください。
(4)略(現在調査中)
■ 個人輸入品の特定保険医療材料に係る取扱い 保険発 第152 号 平成12年9月7日
■ 医薬品や化粧品などの個人輸入について 平成16年4月1日
■ 国外で作成された補てつ物等の取り扱いについて 平成17年9月8日
企業検診に出向くとき、医療機関の開設届けの必要があることを知っていましたか?これは正式には法的裏付けはとっていないが、どうもそうらしい。では、スーパーなどのイベントで検診する場合もそうなのかな?
これが現在における法的根拠のようである。
刑法第134条[秘密漏示]には、
「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産婦、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職に在った者が、正当な理由がないのに、その業務上取扱ったことにより知り得た人の秘密を漏らした時は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」
というふうに「医師」という表現はあっても「歯科医師」という言葉は無い。従って歯科医師には守秘義務は無いのかとはよく言われる議論である。
又、歯科衛生士法 第13条の5(秘密保持業務)
歯科衛生士は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。衛生士でなくなった後においても、同様とする。
と記載されているが、歯科医師法には同様の記載は無い。
それでは歯科医師は業務上知り得た人の秘密を漏らしても罪に問われないのか?
一般には「刑法第134条」の「医師」には「歯科医師」も含まれ、歯科医師にも秘密漏示罪は適用されるとされている。
というものの、一方
刑事訴訟法第149条では
医師、歯科医師、助産婦、看護婦、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、証言を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合、証言の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。
というように「医師」と「歯科医師」を明確に区分している。これはどう解釈したらいいのであろうか?
判例を捜しているが現在まだ見つかってはいない。
ちなみに民法に於いては
民事訴訟法第197条
次に掲げる場合には、証人は、証言を拒むことができる。
第1項(省略)
第2項
医師、歯科医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産婦、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)弁理士、弁護人、公証人、宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて尋問を受ける場合
という記述が存在する。
平成八年三月一四日の歯科技工士法施行規則の一部改正について(歯第4号)に以下のような記載がある。
第一 記載事項の追加について
1 今回の改正による歯科技工指示書の記載事項の追加は、集配専門業者の介在や子請け、孫請けといった近年の歯科技工物の流通形態及び歯科技工所の運営形態の変化の中で、歯科医師と歯科技工士の密接な連携を確保しようというものであるが、こうした流通形態自体を規制する趣旨ではない。
つまり、「技工物の集配業者」や「技工物の下請け」などは、法的には規制されていないということである。しかしながら、その下請け先が海外となると、事情はちょっと異なる。
そもそも、歯科技工士は歯科医師の発行した歯科技工指示書によって歯科技工物を作製するのが業務であり、それは歯科技工士法「第2条」「第18条」に定められるところによる。
逆に言うと、歯科医師は歯科技工士法における免許を有する歯科技工士にしか技工指示書の発行ができないともいえる。つまり、海外の技工所に技工物を発注することは、医療用具の製作を依頼するに値し薬事法の問題が生じるのではないかと思われるのである。また、その技工物が保険診療におけるものであるならば、保険診療として認められる材料か否かも問題となってくる。
(要旨)
(1) 海外から持ち込まれた歯科技工物は、薬事法で定められた医療用具であり、その利用に際しては医療用具としての許可が必要ではないか?
(2) さらに、それが保険診療で使用される場合には、特定保険医療材料として許可されたものであるかという問題がでてこないか?
(その他の資料)
平成12年3月25日の朝日新聞(愛知県版)に厚生省が「歯科医師が責任を持っていれば、歯科技工物を海外で制作すること自体は構わない。」との見解を出したとの情報があるが、その詳細や真意はどうなのか?
どうも、その詳細は以下の資料に載っているようである。「社
日 技 第 59 号 平成12年 6月5日
『歯科技工の委託・受託関係について』」
(結論)
結論になるかならないかはわからないが、実態として「私費診療の技工物の海外外注は○」「保険診療の技工物の海外外注は×」ではあるものの、それらは一定の手続を経ての話であり、国内の技工所に技工物の発注をおこなうように簡単なものではないような気がする。
零売(れいばい)の「零」には「半端」の意味があり、「医薬品の零売」というと、一般に医師が使う医療用医薬品を薬局・薬店などで「小分けして一般に販売する」ことを言う。しかし法には抜け道があるのは世の常。医師の処方箋が必要な「要指示薬」以外の医療用医薬品は、医療用医薬品でありながら処方箋無しに薬局などで販売できることになる。
医療用医薬品はすべて、医師が使うことを前提に薬事法の製造・輸入承認を受けているが、医師の処方せんが必要な薬は厚労相が別途、「要指示薬」に指定している。このため、「要指示薬」に指定されていない医療用医薬品は、「医師の使用を前提としながら、処方せんが必要ない薬」ということになる。
零売は以前は陰でコソコソ行われていたものであるが、最近はそれを売りにする薬局も出始めたそうで、厚生労働省も平成17年4月の改正薬事法で「処方箋の無い医療用医薬品の販売」を全面禁止とした。
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