医療過誤 |
|
|
最終更新日 2007/08/25 |
||
|
||
|
||
99121 医療過誤とは
医療事故(診療事故ともいう)とは,医療に関係する場所で,主に患者を被害者として,診断・検査・治療などの過程で発生する事故一切を包括する言葉である。したがって,この中には,医師の過失に基因しないもの,すなわち,医療の水準に照らし十分な診療を行ったが,なおその結果が患者側の期待にそわなかった場合など,医師の注意義務違反から生じたとはいえない事故を当然含んでいる。
医療過誤(診療過誤ともいう)とは,医師が患者に対して診療行為を行う場合に,「当然払うべき業務上必要とされる注意義務を怠り,これによって患者の生命・身体を侵害し,死傷などの結果を惹起せしめた場合」をいうもので,法律用語である。
医師(医療機関)には,患者に生ずる可能性のある悪い結果をあらかじめ予想する「予見義務」,適切な手段で悪い結果を回避する「結果回避義務」,そのほかに様々な注意義務があるが,医療上の不注意でこれらの注意義務に違反することを過失という。 過失によって患者に損害が生じ,しかもその過失と損害の間に因果関係がある場合には法的な責作を負う。法的責任の有無は刑事責任,民事責任,行政処分の3点から判断され,民事事件では損害賠償,行政処分では資格停止などで責任を負う。
刑事章任は「疑わしきは罰せず」の原則があるが,民事章任はそれほど厳格な証拠がなくとも因果関係がある可能性が高いと判断された場合には損害賠償を命ぜられることがある。
近年,医療事故の増加が指摘されている。その背景は様々で,@患者数自体の増加,A医療技術の進歩によって人体への侵襲を引き起こす危険性が増してきた,B薬剤の多用,C患者の人権意識の高揚,などがあげられている。その内容も様々で,診断,手術,処置,投薬,注射,輸血,輸液,麻酔,検査,看護など診療にかかわるあらゆる過程でなされた行為が対象とされている。さらに,古くはサリドマイド,キノホルム,クロマイ,クロロキン,最近では抗血友病製剤のように医療のために使用された薬剤を問題としたいわゆる薬害訴訟が,監督機関である回と製薬会社などを相手として提起される事例が増加している。
医療過誤の法的要件
@ 作為、不作為を問わず、患者の健康権、生命権を侵害すること。つまり、過失行為が存在すること。
A 歯科医療の専門家として注意を怠ること。すなわち、注意義務違反があること。
B 患者の健康が害されたり、生命が奪われたりの結果がおこること。
C @・Bの間に法律的な因果関係があること。
A.社会的責任
患者数が激減し開業医としての存続の危機となる。
B.刑法上の問題
刑法第211条(業務上過失致死傷)
業務上必要なる注意を怠り、因って人を死傷に致したる者は5年以下の懲役もしくは禁固又は20万円以下の罰金に処す。重大なる過失に因り人を死傷に致したる者も亦同じ。
C.民法上の問題
民法第415条(債務不履行による損害賠償責任)
債務者が債務の本旨に従いたる履行を為さざる時は、債権者はその損害の賠償することを得。債務者の責に帰すべき事由によりて履行を為すときは能はざるに至りたる時亦同じ。
債務不履行の時の救済手段
(1)強制履行 (2)損害賠償 (3)契約解除
民法第695条(和解)
民法第709条(不法行為の要件)
故意又は過失に因りて他人の権利を侵害したる者は、これに因りて生じたる損害を賠償する責に任ず。債務者が其の債務の本旨に従いたる履行を為さざる時は、債権者は其の損害の賠償を請求することを得、債務者の責に帰すべき事由に因りて履行を為すこと能わざるに至りたるとき亦同じ。
民法第724条(損害賠償請求権の消滅時効)
不法行為に因る損害賠償の請求権は被害者又は其の法定代理人が損害及び加害者を知りたる時より三年間これを行わざる時は事項に因りて消滅す、不法行為の時より二十年を経過したる時は亦同じ。
D.行政上の問題
歯科医師法第4条(相対的欠格事由)
各号の一に該当する者には、免許を与えないことがある。
(1) 略
(2) 罰金以上の刑に処せられた者
(3) 前号に該当する者を除く外、医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者
歯科医師法第7条(免許の取り消し、業務の停止、再免許)
(1) 略
(2) 歯科医師が、第4条各号の一に該当し、又は歯科医師としての品位を損するような行為のあったときは、厚生大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて医業の停止を命ずることができる。
(3) 前項の規定による取消処分を受けた者であっても、疾病がなおり、又は改悛の情が顕著であるときは、再免許を与えることができる。以下略。
(4) 厚生大臣は、前3項に規定する処分をなすにあたっては、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。
マーフィーの法則に以下のような一文がある。
”If something can go wrong ,it will !” (何か悪くなる可能性があれば、必ずそうなる)
言い換えれば「間違える可能性があるものはきっと誰かが間違える」となる。依って間違いを起こさないシステムの構築が必要である。つまり、医療過誤を防ぐために大切なこと。それは個人の注意も大切ですが、間違いを犯しにくいシステムを作ることももっと大事である。
(1) 「1V」と「IV」
以前内服用の薬を間違えて注射した事例が有りました。その原因はカルテの指示の「1V」(1筒=1
vial)と「IV=intravenous」(静脈用)の見間違いと聞いております。ちなみに当院では、「抜糸」と「抜歯」の取り違えが無いように注意しています。これは歯科では一般的な事でしょうが。
「抜糸」と「抜歯」は声に出して言うとどちらも「ばっし」となり、取り違えの原因となりやすいので「抜糸」は「ばついと」、「抜歯」は「ばっし」と発音しております。このように、「1V」と「IV」の表記なんかほかに変えればよいのに。こんな事例はいっぱいあると思われます。
(2) 「笑気」と「酸素」の配管
以前、「笑気」と「酸素」の配管を間違えて事故が有りました。これなんかインフラの時点でジョイントの形状を変えて違うジョイントが繋がらないようにするだけのことですね。もっとも、最近は当たり前のようですが。
(3) 注射針の針刺し事故
医療機関の隠れた事故に、医療関係者における注射針の針刺し事故があります。当院ではこれを防止するために、カートリッジから針をはずす時には電動の機械を使用し、使用済みの針を手で触らなくても良いようにしています。
(4) 飛行機の座席
ほかの業界に目を転じると次のようなことが有ります。
ジャンボジェット機の座席は横に10列(3ー4ー3)ですが、その座席表示は左から(A-B-C.D-E-F-G.H-J-K)となっています。お分かりのように「I」が無いんですね。これは数字の「1」とローマ字「I」が間違えやすいからに他なりま
せん。
(5) 薬の包装
これは安全とは直接関係は無いのですが。
歯科では、主として「抗生剤」や「鎮痛剤」を使います。1日3回3日分 や 1日4回2日分等の処方をしています。
しかし薬の多くが「2列×5行」の10個包装なんですね。とすると、1個余ったり・2個余ったり合理的でないんですね。そうすると余った1個は次の患者さんに出します。「1個+1個+2列「3列×4行」の包装にすればいいのにね。
もっとも一部の漢方薬には「3×7」(1日3回7日分)の包装があるようですが。このようにに包装1つにしても、薬の飲み忘れを防止する1つの方法になるような気がします。
(6) 患者取り違え事故
最近ある病院で患者取り違え事故があった。そこで様々な防止策が考えられた。しかしそのほとんどが「複数の人間で確認する」と言った人の注意力に依存した方法である。一部の病院では「腕バンド」と言ったシステム的な防止策を講じた所もある。しかしこういった方法には、「人を物みたいに扱う」と言った批判を伴う。しかしこういった批判を乗り越えなければ進歩はあり得ない。