診療報酬体系見直し作業委員会の報告書より

1、医療機関の機能に応じた評価

与党案

● 大病院
 入院機能を基本的な機能として重視。外来については原則として紹介制(専門外来)。

● 中小病院及び診療所
 外来でのプライマリケア機能を基本的な機能として重視。入院機能については、それぞれの病院特性、診療科特性に配慮。

2,略

3、医療技術の評価

党協案は、医療技術の評価に関し、次のような方向を示している。
技術評価:医師、歯科医師などの診療科の特性や技術の難易度を評価する。
看護評価:看護必要度を加味した評価とする。
その他:特定療養費制度を参考に、一定の範囲内で医師、歯科医師などがその技術や経験が評価できる途を開く。


4、投資的経費、維持管理経費の評価

維持管理経費等: 医療機関の設備投資、維持管理経費については、地域格差を反映した評価を行う。
療養環境(アメニテイ):施設利用料として患者から一料金の支払いを受けることを原則自由とする。

8、歯科医療の特性

(1) 与党協案の考え方
 与党協案は、歯科医療の評価について、次のような方向を提示している。
出来高原則:歯科医療機関は外来が中心であることから出来高払いを原則。根管治療などにおける定型的な部分は定額払い。
固有の披術評価:歯科固有の技術評価として、長期的維持管理に着目した評価を行う。

 この仕組みは、歯科医療の特性として、齲蝕、歯周疾患及び歯の欠損等による影響が蓄積し咀嚼機能を慢性的に阻害しやすいこと、歯科補綴物の長持ちが間題になるという点を踏まえ、歯科固有の技術評価として咀嚼機能の長期的維持管理(長持ちする歯科医療)に着目した評価を行うことが、歯科医療費適正化の観点からも重要であるとの考え方と理解される。

(2) 具体的仕組みの検討
 歯科医療についてはその特性を踏まえ、特に次のような点に留意することが必要と考えられる。(別紙7参照)

支払方式(出来高・包括定額)
 歯科医療は外来診療が大半であることに加えて、患者間で歯科疾患の個人差や歯科補綴の治療内容等の差異が大きいという特性から出来高払いを原則とするが、可能なものについては、出来高払いと定額払いの最善の組含せを検討することが必要と考えられる。
 根管治療(歯肉療法)については、歯科補綴物の長期的維持管理の視点からも重要であるが、技術的に定型的な部分については歯科医療の適正化及び請求事務の簡素化の視点から包括化を取り入れることが可能と考えられる。
 なお、その際、難度が高い症例が存在するので評価上、考慮することも必要である。

固有の技術評価としての長期的維持管理の評価
 固有の技術評価は、咀嚼機能を回復させ長期維持する技術に関連して以下の3つの視点で行う必要があると考えられる。
* 歯科補綴物については、その長持ちに関する技術評価を包括的により充実する必要がある。
* 小児については、小児の齲蝕多発傾向者に対して効果的なセルフケアのための手法の拡大を含めた効果的再発抑制及び重度の咀嚼機能障害を伴う不正咬合児への歯科矯正治療を評価する必要がある。
* 歯周疾患についてはハイリスク者の再発を効果的に抑制する視点での評価を加える必要がある。なお、その際特定療養費を活用することも考えられる。

病院歯科の評価
 病院歯科については、病診連携に基づく高次の機能及びチーム医療の評価を行う必要があると考えられる。

その他
 歯科医療の技術評価は歯科固有の技術に着圓した評価を優先的に行う必要があるが、その際、固有性が低い項目の評価については再検討する必要があると考えられる。
 また、歯科訪間診療については、その適応の基準の明確化及び医療機関の連携の評価を行うぺきと考えられる。
 なお、維持管理経費については、医科無床診療所と同様の考え方とすることが適切である。

9、医療情報提供の基盤整備

 医療機関の機能の明確化、質の向上を図る一方で、国民に適切な医療情報を提供する等の基盤整備を進めることは、患者主体の医療を確保しまた医療費の効率化にもつながるものである。
 医療惰報提供の基盤整備は、診療報酬体系の見直しを実効あるものとするため不可欠な要素と考えられ、必要と考えられる措置について検討したところである。

(1) 医療に係る情報公開

医療機関が提供する医療サービスに関する情報の公開等
 わが国の医療保険制度は、患者が医療機関を自己の判断により選択できるフリーアクセスの仕組みとなっている。しかし、実際には、患者は医療機関を選択する際に必要最低限の情報すら入手することが困難な状況にあり、また、医療機関が実際にどのような医療水準であるかを比較することも困難なため、患者はとりあえずの安心を求めて大病院に集中する等の問題が生じている。
 こうした患者の医療惰報不足の状況を解消し、地域に展開された医療提供のネットワークを適切に選択できるよう、まず行政が保有する保険医療機関に関する情報(診療報酬の関係で届け出た事項等)について、わかりやすい形で積極的に患者、保険者に公開することが必要と考えられる。また審査支払機関の有する情報についても公開すべきであるとの意見もあった。
 このような情報について、保険者が共同して、被保険者、患者に提供するような事業を進めることも必要である。また、医療に関する惰報開示は、医療機関の機能だけでなく病院機能評価等の評価結果を含めて行うことが可能となれば、より効果的なものになると考えられる。

医療機関の患者への情報提供
 医療機関が患者に提供する情報としては、現時点では院内掲示等によるものであるが、患者が保険医療機関を選択するのに役立つような惰報(例えぱ、医師の専門性についての情報、疾病治療の経験や実績など)について、規制緩和や掲示の義務化等がより一層進めば、患者が医療や医療機関を選択する際の重要な判断材料となり、適切な医療の確保に資すると考えられる。
 さらに、包括定額払いと出来高払いの組合せによる診療報酬体系が適切に機能するためには、患者に必要な惰報が提供され、患者の適切な選択が生じることが条件と考えられる。従って、今後、個々の診療報酬点数を取得できる条件に、当該専門分野における診療実績など、できる限り国民、患者が知りたいと考えられる医療惰報の提供の義務づけを加えることを検討することが必要である。これにより、安心して医療を受けられるような体制を整えた医療機関であるか否かを恩者が判断する材料となる惰報が広く公表されることとなり、患者の適切な医療機関の選択と医療機関の適切な競争による質の向上が図られると考えられる。
 こうした診療内容の惰報提供を進める際には、その情報を提供する際の基準の策定を併せて検討することも必要と考えられる、
なお、診療内容の開示については次のような意見があった。
医療現場における診療内容に関する患者への情報公開を進めるため診療内容のうち客観的な事項の記録を開示すべきである。
精神医療の特性から診療内容の開示は慎重に対応すぺきである。


医療惰報提供の新たな取り組み
 今後、医療情報の提供として取り組むべき方向の一つとして、患者情報の共有がある。当面、紹介外来の際の検査データの共有化の促進、薬歴手帳の発行等による薬歴情報の共有化など、重複受診、重複投薬等を排除するための仕組みについて、薬剤使用の適正化の観点からの医療機関と保険薬局の連携も含め、これを検討することが必要と考えられる。さらに、電子カルテ、被保険者証のカード化を進めるに当たっても、こうした患者情報の共有化という視点から、診療報酬上、必要な措置を講ずることを検討することも必要と考えられる。

また、医療情報の提供を促進する取り組みとして次のような考え方もあった。
患者への情報公開への対応や審査の参考とするためにも、医療機関ごとの診療内容の情報を蓄積し活用するシステムを構築することが必要である。また、このデータを生かして、信頼できる最新のデータに基づ理に適った医療(EBM、エビデンス・ベイスド・メディスン)の研究を推進することが必要である。また、これを誘導する仕組みを検討することが必要である。
適切な診療録管理に基づく情報の収集・整理について診療報酬上の評価を検討すべきである。

(2)医療の質の確保のための方法

 定額払いの場合には、粗診粗療が起こる可能性が指摘されているが、現在のレセプトの記載では診療内容が把握できないことから、医療の質を確保するための最低限の仕組みとして、使用した薬剤の内容など一定の診療内容について記載を義務づけることを検討することが必要と考えられる。この場合、患者の状況を表す属性、診療内容及び診療成果に関する必要最低限の情報を標準化した様式で記載する方式が適切と考えられる

 また、適切な診療であるかどうかを判断するため、レセプトには主傷病名を記載することを推進することが必要であり、その際には、ICD10(第10回修正国際疾病傷害死因分類)によるなど一定の基準を定めることが望ましいと考えられる。
 さらに、現在のレセプト審査や指導監査は、医療の質をチェックするという意味で一定の役割を果たしているが、レセプト電算化の進展を促進し、審査・請求事務の効率化を図るとともに、必要に応じ審査に係る基準を明確にしていくことを検討することも必要と考えられる。
この他、次のような意見もあった。
第三者機関による審査・評価、厳格なピァ・レビュー一(医師による審査)、レセプト電算化普及のための誘導措置などの検討も必要である。