歯科関係の国会質疑のデータ集

 

最終更新日 2008/12/14  
   
       

■ 医業等の更なる発展についての新しいサービスに関する質問主意書

平成二十年十月一日

医業等の更なる発展についての新しいサービスに関する質問主意書

 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関しては、医療法において広告行為について制限が課せられており、同法で定められた事項を超える広告行為は禁じられている。他方、医業等の更なる発展のためには、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所について、患者等に対して正確かつ有益な情報が適時、適切に提供されることが必要であると考える。ついては以下のとおり質問する。

一 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関し、医療法で定められた範囲での広告を行うという前提で、第三者(法人を含む)が情報提供するサービスについて何らかの法的制限は課せられるのか。以下の違いによって、法的制限に差異が生ずるか否かについても答弁願いたい。

1 広告の対象が、特定の顧客(有料老人ホーム等の入居者等)である場合と不特定多数の人間である場合
2 サービスを提供する相手(患者等)からサービスの対価を徴収する場合と無料でサービスを提供する場合
3 広告主(医業若しくは歯科医業を営む者又は病院若しくは診療所)から広告料を徴収し利益を上げる場合とそうでない場合

二 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関し、第三者(法人を含む)が医療法で定められた範囲での広告を行い、かつ当該広告を踏まえて、患者や顧客を医業若しくは歯科医業を行う者又は病院若しくは診療所に対し、紹介・斡旋するサービスについて何らかの法的制限は課せられるか。一の1から3までの区分を適宜読み替えた上で、それぞれの違いによって、法的制限に差異が生ずるか否かについても答弁願いたい。

★ 答弁書  答弁書第二四号
内閣参質一七〇第二四号 平成二十年十月十日

参議院議員大久保勉君提出医業等の更なる発展についての新しいサービスに関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘のサービスについては、許可や届出などにより、その実施自体を規制するような法律上の規定は存在しない。ただし、サービス提供の仕組みいかんによっては、法律上の規定に違反することとなる場合があり得る。例えば、保険医療機関から委託を受けた第三者が、患者に対して当該保険医療機関の特定の医師又は歯科医師を紹介し、当該医師等から医療の提供を受けた患者からその対価を徴収した上で、その一部を当該保険医療機関に支払うこととした場合には、当該保険医療機関は健康保険法(大正十一年法律第七十号)第七十四条第一項の規定による一部負担金を超える金額の支払を受けることとなるため、当該保険医療機関は保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十五号)第五条第一項に違反することとなる。

■ 国外で作成された歯科医療の用に供する補綴物等の取扱に関する質問主意書

平成十九年六月十四日提出 質問第三八二号
国外で作成された歯科医療の用に供する補綴物等の取扱に関する質問主意書
提出者  仙谷由人

国外で作成された歯科医療の用に供する補綴物等の取扱に関する質問主意書

 歯科医療の用に供する補綴物等については、通常、患者を直接診療している病院または診療所内において、歯科医師から交付された指示書にもとづき有資格者が作成するものとされている。
 国外で作成された補綴物等については、使用されている歯科材料の性状等が必ずしも明確ではなく、また、我が国の有資格者による作成でないことが考えられることから、補綴物等の品質確保の観点から、患者に対して特に以下の点について情報提供を行い、患者の理解と同意を得るとともに、良質かつ適切な歯科医療を行うようつとめることとされている。
 すなわち、(一)当該補綴物等の設計 (二)当該補綴物等の作成方法 (三)使用材料(原材料等)(四)使用材料の安全性に関する情報 (五)当該補綴物等の科学的知見にもとづく有効性及び安全性に関する情報 (六)当該補綴物等の国内外での使用実績等 (七)その他、患者に対して必要な情報
 右(一)〜(七)についての情報の提供を歯科医師が患者に行うことで、海外で作成することを認める内容の通達が出されていると承知している。
 現在、インターネットの普及等により、海外との距離感がなくなり、情報のみならず技術も広く世界に広がりつつある中で、海外の歯科補綴物等の受注を受ける場合も多々あろう。
 そこで、輸入する場合とは逆に輸出する場合等にはどのようになるのか。以下の場合について、お答えいただきたい。

一 欧米等国外の歯科医師より受注した補綴物等を日本で作成する場合、その受注が日本の有資格者に作成を指示していない場合であっても、無資格者が作成すれば日本の歯科技工士法に抵触することになるのか。
二 国外の工場で補綴物等を作成することについては、先の答弁書によれば歯科医師の判断にゆだねられることになる(内閣参質一六五第五号平成一八年一〇月一七日)。それでは、国外の工場でつくられた補綴物等を保険の対象とすることは可能と考えてよいか。
三 国外に進出する企業の支社、支店に勤務する社員が、海外において歯科治療を受け、日本の社会保険制度を使用する場合は、日本の歯科技工士法に抵触する事態は生じないのか。

 右質問する。

★ 平成十九年六月二十二日受領
答弁第三八二号

  内閣衆質一六六第三八二号
  平成十九年六月二十二日

内閣総理大臣 安倍晋三

  衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員仙谷由人君提出国外で作成された歯科医療の用に供する補綴物等の取扱に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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衆議院議員仙谷由人君提出国外で作成された歯科医療の用に供する補綴物等の取扱に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、歯科医師又は歯科技工士でない者が業として歯科技工を行う場合には、歯科技工士法(昭和三十年法律第百六十八号)第十七条第一項の規定に違反することとなる。

二について

 国外で作成された補てつ物等については、必ずしもその質が一律に担保されているとは言えないため、老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)第六条第一項各号に掲げる医療保険各法による療養の給付又は同法による医療の対象とすることは困難である。

三について

 お尋ねについては、例えば、歯科医師又は歯科技工士でない者が我が国で作成した補てつ物等を海外における歯科治療に用いる場合には、一についてで述べたとおり、当該補てつ物等を作成する行為は、歯科技工士法第十七条第一項の規定に違反するものである。

■ 歯科診療の向上に関する質問主意書

質問主意書
質問第一〇八号

歯科診療の向上に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出す  平成二十年一月九日
福 山 哲 郎            参議院議長 江 田 五 月 殿

   歯科診療の向上に関する質問主意書

 適切な食事を通じて健康の回復、維持、増進を図ることは、運動とともに健全な日常生活を営む上で注目され、実践されている。メタボリックシンドロームにおける歯周病予防・維持管理は糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞の発症、重篤化を抑制し、国民の健康増進、医療費抑制に寄与することが明らかになってきている。
 病院、介護の現場では、栄養サポートチームの取組、口腔ケアの取組などを通じて、入院患者の平均在院日数の短縮、誤嚥性肺炎の減少を始め、様々な効果が報告されている。また、八〇二〇運動などによって口腔機能が高く維持されることで、総医療費が抑制されることも期待されている。健康寿命の延伸、並びにそれに伴う総医療費の抑制に歯科医療が果たすべき役割は極めて大きいと考えられるが、歯科医療を取り巻く現状は極めて厳しい。
 そこで、歯科医療を更に発展させる観点から、以下のとおり質問する。

一 歯の健康が全身の健康に大きな影響を及ぼすと、専門家の間では指摘されている。例えば、歯周病の予防・管理が糖尿病や動脈硬化の予防・重篤化抑制、早期低体重児出産の抑制などにつながると言われているが、政府の認識を示されたい。

二 平成一八年度の診療報酬改定によって歯周病治療を保険診療で行うことが困難となった。歯周病治療に係る継続管理の診療報酬上に明確な位置付けと点数化が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

三 八〇歳で自分の歯を二〇本以上持っている、いわゆる八〇二〇を実現している人は、医療費用や介護費用を削減できるとの調査結果が報告されているが、政府の認識を示されたい。

四 国民医療費に占める歯科診療医療費の割合は、昭和五六年の一一・〇パーセントを極大値として下がり続け、平成一八年には七・七パーセントにまで下落した。政府はどの程度の数値を適切と考えているのか、見解を示されたい。

五 現在、厚生労働省には一一一名の医師が公務員として働いているのに対し、歯科医師は一三人にすぎず、医師の約一〇分の一程度のレベルでしかない。歯科医師の比率を増やす必要性について、政府の見解を示されたい。

六 厚生労働省の中央社会保険医療協議会のメンバーに医師が五人であるのに対して、歯科医師は一人にすぎない。この状況では、歯科医療の重要性を医療政策に十分反映できないのではないかと懸念される。歯科医師、あるいは歯科医療の現場を知る人間の比率を高めることについて、政府の見解を示されたい。

七 中央社会保険医療協議会が平成一九年六月に実施した「第一六回医療経済実態調査(医療機関等調査)結果速報」によると、一般診療所(個人立・無床)の収支差額が二二五・三万円(月額)であるのに対し、歯科診療所(個人立)の収支差額は一二二・九万円(月額)となっている。ひとしく人間の生命と健康を扱う医療機関において、約二倍の格差が付いており、是正が必要だと考えるが、政府の見解を示されたい。

八 レセプトオンラインシステム導入が義務付けられることにより、コンピュータに習熟できずに廃業を余儀なくされる歯科医師が生じることが懸念される。また、機材・システムの導入により数百万円という高額の出費が予想される。オンラインシステム導入に関して、何らかの対応を採ることを検討しているのか、政府の見解を示されたい。

九 画一的な文書提出の義務化によって、歯科医師が患者と向き合う時間が奪われ、逆にコミュニケーション不足になるという皮肉な結果が生じている。一回目はまだしも、二回目以降の治療で大きな変更点がなければ義務化を外すなど、現実に即した柔軟な運用をすべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

十 高齢化社会が進み、お年寄りの介護にかかわるニーズは日増しに高まっている。今後、地域の「認知症サポーター」を増やす取組が必要となり、歯科医療従事者もその中核になり得ると考えられる。歯科医師による訪問介護や、歯科衛生士による訪問衛生指導のインセンティブを高める対応を診療報酬上で採ること等によってその可能性を広げることができると考えるが、政府の見解を示されたい。

十一 平成一九年四月に施行された医療法改正によって、C型肝炎にかかっている患者に対する安全対策など、歯科医師が負うべき義務が増えたにもかかわらず、その行為は、今までの初診料・再診料に含まれ、新たな保険点数として評価されていない。診療報酬への加算など何らかの対応の必要性について、政府の見解を示されたい。

十二 職場における歯の検診は極めて重要である。しかし、労働安全衛生法第六六条一項は「医師による健康診断を行わなければならない」とあるのみで、歯科の定期検診は明記されていない。そのことによって、学校保健によって培われた歯の健康は損なわれ、老人保健における対策は手遅れになってしまう。労働安全衛生法第六六条一項は、歯科検診も含むと解釈するのか明らかにされたい。また、歯科検診も含むと解釈しない場合、通知・通達による努力義務ではなく、法律に明記されるべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。

答弁書

第百六十八回国会答弁書第一〇八号

内閣参質一六八第一〇八号
  平成二十年一月十八日

内閣総理大臣 福 田 康 夫   
参議院議長 江 田 五 月 殿

参議院議員福山哲郎君提出歯科診療の向上に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

 参議院議員福山哲郎君提出歯科診療の向上に関する質問に対する答弁書

一について

 厚生労働省としては、御指摘のように歯周病の予防・管理が糖尿病や動脈硬化の予防・重篤化抑制、早期低体重児出産の抑制につながるとの調査報告があることは承知しており、国民の健康の保持増進を図るため、今後とも、口腔の健康と全身の健康の関係について科学的な知見の集積を図る観点から調査研究を進めることは重要であると考えている。

二について

 厚生労働省としては、既に歯科診療報酬上、歯周疾患の継続管理について、歯周疾患指導管理料等により評価をしているところである。

三について

 厚生労働省としては、御指摘のような調査報告があることは承知しており、これらも参考としながら、八〇二〇運動を始めとする疾病予防及び健康増進を目的とした歯科保健医療の充実に努めてまいりたい。

四について

 厚生労働省としては、国民医療費に占める歯科診療医療費の割合については、歯科医療に対する国民のニーズに応じて決まるものであると考えており、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

五について

 厚生労働省としては、歯科保健医療に係る所掌事務を適切に遂行できるよう歯科医師を本省に配置しているところであり、現状において歯科医師の比率を増やす必要はないものと考えている。

六について

 中央社会保険医療協議会(以下「中医協」という。)の委員のうち診療側委員については、社会保険医療協議会法(昭和二十五年法律第四十七号)第三条第一項第二号において医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員七人とされているが、厚生労働省としては、「中央社会保険医療協議会の新たな出発のために」(平成十七年七月二十日中医協の在り方に関する有識者会議報告書)において、診療側委員の委員構成について「医療費のシェア、医療施設等の数、医療施設従事者数、患者数等の指標を総合的に勘案しながら、明確な考え方に基づいて決定していくべき」とされていることを踏まえ、保険医療費に占める歯科医療費の比率、保険医療機関及び保険薬局(以下「保険医療機関等」という。)の総数に占める歯科に係る保険医療機関(以下「歯科保険医療機関」という。)の数、保険医療機関等に勤務する保険医及び保険薬剤師の総数に占める歯科医師である保険医の数、保険医療機関等の受診延べ日数の総数に占める歯科の受診延べ日数等を総合的に勘案し、中医協の診療側委員七人に対する歯科医師を代表する者の比率を一人としているものであり、この比率は適切であると考えている。

七について

 厚生労働省としては、歯科診療報酬については、物価、賃金等の動向、歯科保険医療機関の経営状況、医療保険財政の状況等を総合的に勘案し、中医協における議論を踏まえて適切に設定しているものと考えている。

八について

 歯科保険医療機関を含む保険医療機関等が電子情報処理組織の使用による診療報酬の請求(以下「オンライン請求」という。)を行うためには一定の経費が必要であるが、その実施により保険医療機関等における診療報酬の請求に係る事務処理が効率化されるなど、保険医療機関等にメリットをもたらすものと考えている。
 また、オンライン請求の義務化に当たっては、@オンライン請求の義務化に係る療養の給付、老人医療及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和五十一年厚生省令第三十六号)の改正規定の施行までの間に十分な準備期間を設けること、Aレセプトコンピュータを使用していない小規模な保険医療機関等においては、オンライン請求を行うためには一定の期間を要すると見込まれることから、その実施に当たっては一定の猶予期間を設けること、B事務代行者を介してのオンライン請求を認めることなどの措置を講じ、オンライン請求の着実な実施を図ることとしている。

九について

 厚生労働省としては、平成十八年度の歯科診療報酬の改定において、患者への情報提供を推進する観点から、病状、治療計画、指導内容等について、患者に説明を行うとともに、これを文書により患者に情報提供すること(以下「文書提供」という。)を歯科疾患総合指導料等の算定要件としたところであるが、歯科保険医療機関の事務負担を軽減し、文書提供を効率的に行うことができるよう、一定の条件を満たす場合には、患者に情報提供した文書を診療録に添付すれば、歯科疾患総合指導料等を算定して差し支えないものとしているところである。
 また、平成十八年度の歯科診療報酬の改定の結果について、中医協において検証を行ったところ、文書提供については、「満足している」と回答した患者が七割以上であったが、当該患者のうち、「毎回の発行は不要」又は「簡素化してほしい」と回答した者も四割程度いたところである。
 厚生労働省としては、中医協においてこの検証結果を踏まえて行われる平成二十年度の歯科診療報酬の改定に係る議論を踏まえ、文書提供の在り方について検討してまいりたい。

十について

 御指摘の歯科医師による訪問診療等の在宅歯科診療については、現在中医協において平成二十年度の歯科診療報酬の改定に係る項目の一つとして、後期高齢者に対する総合的な口腔管理等に対する評価について議論を行っているところであり、厚生労働省としては、その議論の結果を踏まえて適切な評価に努めてまいりたい。

十一について

 厚生労働省としては、御指摘の「歯科医師の負うべき義務」を履行するために必要な費用を含め、歯科医業経営に必要な費用については、医療経済実態調査の結果を踏まえた中医協における議論を経て、歯科診療報酬において総合的に評価しているところであり、今後とも、物価、賃金等の動向、歯科保険医療機関の経営状況、医療保険財政の状況等を踏まえつつ、適切に評価してまいりたい。

十二について

 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第六十六条第一項の規定に基づく健康診断には、歯科医師によるものは含まれないが、同条第三項においては、事業者は、政令で定める有害な業務に従事する労働者に対し、歯科医師による健康診断を行わなければならないこととされている。
 政令においては、歯科疾患を発症させるおそれのある業務を規定しているが、歯科疾患の発症との関連性が希薄であるこれ以外の業務に従事する労働者に対し、労働安全衛生法に基づき、事業者が歯科医師による健康診断を行わなければならないこととすることは、事業者に過度の負担を負わせることとなり、困難である。

■ 質問第九五号: 監査を前にした東京の歯科保険医の自殺に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
 平成十九年十二月十八日
参議院議長 江田 五月 殿


 監査を前にした東京の歯科保険医の自殺に関する質問主意書

 歯科医療機関の経営は患者減と診療報酬点数の抑制で悪化を続けている。特に開業歯科医師は、従業者数の削減など支出の削減を強いられているにもかかわらず、所得を減少させている。今後の歯科診療報酬の改定も、歯科医療機関の経営困難を更に促進する危険性が強い。多くの歯科医師が将来の歯科医院経営た展望を持てない状況に追い込まれてける。
 それに加えて、保険診療にかかわる指導や監査が歯科医師に重大な困難をもたらしている。本年九月には、東京都港区で開業する歯科保険医の松下武史氏が予定されていた監査を前に自殺をされた。一九九三年に富山県で保険医が個別指導後に自殺し、大きな社会問題にもなった。それにもかかわらず再びこのような事件が起き、富山の事件が教訓として全くいかされていない。松下医師は、二〇〇六年四月二十一日に行われた第一回目の個別指導で、指導に当たった技官から「こんなことをして、おまえ全てを失うぞ!」、「今からでもおまえの診療所に行って調べてやってもいいぞ、受付や助手から直接聞いてもいいんだぞ!」などと恫喝されたことを述べ、「なぜあそこまで人権を無視したことを言われなければいけないのか」と精神的苦痛を受けたことを訴えていた。そして、第一回目の指導が中断された後、再開まで九箇月もかかった上、「中断」に対する説明、連絡なども行われず長期間放置状態に置かれていたという。もちろん、不正な請求は許されるものではないが、犯罪者扱いとするような行き過ぎた個別指導や行政手続法など法律から逸脱した個別指導に対する改善を求める声が、多くの医療関係者から寄せられている。
 そこで、以下の点について質問する。

一 本年十月二十五日の参議院厚生労働委員会における私の質問に対して、舛添要一厚生労働大臣は、「監督指導へ行くときに、・・・、暴言を吐いたとか脅すとか、そういうことがあっちゃいけないんで、これはやっぱり懇切丁寧にやる。」、「(第三者を入れるシステムが)機能していないということは大変ゆゆしいことでありますから、きちんと指導していきたいと思います。」と答弁をした。個別指導は「指導大綱」に沿い、懇切丁寧に行われる必要があるが、二〇〇六年四月二十一日に行われた歯科の個別指導の実施時間、担当技官等行政側の出席者氏名、歯科医師会等の立会人の氏名を実施された個別指導ごとに明らかにされたい。

二 二〇〇六年四月二十一日に松下医師が受けた個別指導がどのような内容であったか明らかにされたい。
 また、当日の担当技官の氏名を明らかにされたい。

三 松下医師がニ〇〇六年四月二十一日に第一回目の個別指導を受け、本年二月十九日に再開されるまでの九箇月問、中断した理由を明らかにされたい。また、行政側としてはどのような作業をしていたのか。この期間、松下医師に対してはどのように対応したのか。それぞれ明らかにされたい。
四 本年九月二十日に予定されていた監査に出席できない旨の連絡が、松下医師の家族から社会保険事務局にはいつ行われたのか、どのように受理され、家族への連絡などどのような対応が行われたのかそれぞれ明らかにされたい。
五 東京都における歯科の個別指導の中断について、二〇〇六年度から二〇〇七年度までの個別指導実施の中断件数と中断期間を明らかにするとともに、中断の理由別の数、再開時期を被指導者に文書で連絡を行っている件数をそれぞれ明らかにされたい。
 右質問する。
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内閣参質一六八第九五号
 平成十九年十二月二十八日

  内閣総理大臣臨時代理
   国務大臣  町村信孝

参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員小池晃君提出
 監査を前にした東京の歯科保険医の自殺に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


 参議院議員小池晃君提出監査を前にした東京の歯科保険医の自殺に関する質問に対する答弁書

一について
 お尋ねについては、昨年四月二十一日午後一時から三時までの間に四の歯科に係る保険医療機関(以下「歯科保険医療機関」という。)に対して、また同日午後三時から五時までの問に五の歯科保険医療機関に対して、それぞれ個別に、東京都歯科医師会の指定した歯科医師及び東京都地区歯科医師会の指定した歯科医師の立会いの下で、東京社会保険事務局保険部保険医療課の職員及び東京都福祉保健局指導監査室の職員により個別指導(「保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について」(平成七年十二月二十二日付け保発第百十七号厚生省保険局長通知)の別添1「指導大綱」第3の3に掲げる個別指導をいう。以下同じ。)を行ったものである。
 お尋ねの氏名については、個人情報保護の観点から公表していないこともあり、お答えすることは差し控えたい。

二について
 お尋ねについては、御指摘の歯科医師(以下「本件歯科医師」という。)の勤務する歯科保険医療機関が担当した療養の給付等が、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十五号)等に照らして妥当適切であったかどうかについて、東京社会保険事務局保険部保険医療課の職員が確認を行ったものである。
 お尋ねの氏名については、個人情報保護の観点から公表していないこともあり、お答えすることは差し控えたい。

三について
 お尋ねについては、御指摘の第一回目の個別指導において、更に確認を行うため新たな資料が必要となったことからその提出を本件歯科医師に求めたところ当該資料の提出までに時間がかかり、また、当該資料が提出された後に東京社会保険事務局において再開後の個別指導の準備を行っていたために時間を要したものである。

四について
 東京社会保険事務局においては、本年九月十四日に、本件歯科医師の御家族より本件歯科医師が御指摘の監査に欠席する旨の電話連絡を受けた後、同月十八日付けで、郵送による本件歯科医師の監査の欠席届を受理した。

五について
 個別指導においては、予定時間内に対象保険医療機関より必要な情報が得られなかった場合には後日再関する前提で個別指導を中断することとしているが、そのような中断の件数は、昨年四月一日から本年十一月三十日までの間に東京都に所在する歯科保険医療機関に対して行われた個別指導については四十一件であり、その中断の期間は、中断が継続しているものも含め、一か月未満が六件、一か月以上二か月未満が十四件、二か月以上三か月未満が九件、三か月以上四か月未満が二件、四か月以上五か月未満が二件、五か月以上六か月未満が三件、六か月以上七か月未満が一件、七か月以上八か月未満が一件、八か月以上九か月未満が二件、十一か月以上十二か月未満が一件であり、十二か月以上のものはない。
 これらの中断の理由は、指導すべき内容を確定するため必要な情報の不足等から更なる調査が必要なものが四十件、指導の対象となる保険医の不在によるものが一件である。また、個別指導を再開する日時についてはすべて文書で通知することとしており、お尋ねの件数については、個別指導を再開する日時が決定した三十六件である。

■ 質問第七四号: 歯科の診療報酬に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十九年十二月五日 小  池   晃          参議院議長 江 田 五 月 殿

   歯科の診療報酬に関する質問主意書

 近年の診療報酬のマイナス改定は、患者窓口負担の相次ぐ引上げによる受診抑制とあいまって、医療機関の経営悪化をもたらし、医療従事者の労働強化や医療の質と安全性を低下させるとともに、地域における医療提供体制の崩壊に拍車をかけている。特に歯科診療については、長期間にわたって診療報酬点数が引き上げられない項目が多く一層問題は深刻である。そもそも歯の健康状態を保持することは、全身の健康にも大きな寄与をもたらし、結果的に医療費を低く抑える効果をもたらすことは東北大学の渡邉誠教授や兵庫県保険医協会や香川県などの研究でも明らかになっており、全身の健康保持のためにも、低く抑えられてきた歯科の診療報酬を適切に評価することが求められている。
 よって、以下質問する。

一 歯科の診療報酬のうち二十年前と比較して点数が変わっていない項目について明らかにされたい。また、二十年間もの間にわたって引上げが行われていないことは、この間の物価・人件費の伸びなどと比べても、明らかに均衡を欠くのではないかと思われるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 長期にわたって改定が据え置かれた項目を始めとして、歯科の診療報酬について適切な診療を確保するための十分な評価が行われるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。

  答弁書

答弁書第七四号

内閣参質一六八第七四号
  平成十九年十二月十四日

内閣総理大臣 福 田 康 夫         参議院議長 江 田 五 月 殿

参議院議員小池晃君提出歯科の診療報酬に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員小池晃君提出歯科の診療報酬に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 現在の歯科診療報酬点数表において、評価される診療行為及び点数の双方が、昭和六十一年四月時点の歯科診療報酬点数表と同じである項目は、検査の部に掲げられているスタディモデル、平行測定(支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が5歯以下の場合に限る。)、下顎運動描記法(MMG)、チェックバイト検査、ゴシックアーチ描記法及びパントグラフ描記法、画像診断の部に掲げられている写真診断(単純撮影における歯科エックス線撮影のうち、全顎撮影以外の場合に限る。)及び歯牙、歯周組織、顎骨、口腔軟組織(単純撮影における歯科エックス線撮影のうち、全顎撮影以外の場合に限る。)、処置の部に掲げられている知覚過敏処置、乳幼児齲蝕薬物塗布処置、歯髄切断、根管充填における加圧根管充填の加算、外科後処置、歯周疾患処置、暫間固定(著しく困難なものを除く。)、暫間固定装置修理(簡単なものに限る。)、口唇プロテクター、線副子、床副子(著しく困難なものに限る。)、歯周治療用装置、歯冠修復物又は補綴物の除去(根管内ポストを有する鋳造体の除去を除く。)、暫間固定装置の除去、根管内異物除去、有床義歯床下粘膜調整処置及びラバー加算、手術の部に掲げられている抜歯手術(乳歯及び難抜歯並びに上顎洞へ陥入した歯牙の除去術に限る。)、ヘミセクション(分割抜歯)、抜歯窩再掻爬手術、歯根嚢胞摘出手術、歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術、外歯瘻手術及び歯肉歯槽粘膜形成手術(歯肉弁側方移動術に限る。)、歯冠修復及び欠損補綴の部に掲げられている印象採得(欠損補綴の単純印象及び副子に限る。)、装着(歯冠修復におけるその他、欠損補綴における口蓋補綴、顎補綴及び副子の装着の場合に限る。)、咬合採得(歯冠修復及び欠損補綴におけるブリッジ(支台歯とポンティック(ダミー)の数の合計が6歯以上の場合を除く。)に限る。)、鋳造歯冠修復(4分の3冠及び5分の4冠に限る。)、ジャケット冠、硬質レジンジャケット冠、乳歯金属冠、臼歯金属歯、補綴隙、充填物の研磨、有床義歯床裏装(局部義歯における9歯から11歯までに限る。)、帯冠金属冠修理、金合金鉤修理及び歯冠継続歯修理並びに歯科矯正の部に掲げられている歯科矯正診断料、歯科矯正管理料、模型調製、動的処置、印象採得(マルチブラケット装置に限る。)、咬合採得、装着、撤去、セパレイティング、結紮、床装置、リトラクター、プロトラクター、拡大装置、アクチバトール(FKO)、リンガルアーチ、マルチブラケット装置、保定装置、鉤、帯環、ダイレクトボンドブラケット、フック、弾線、トルキングアーチ、附加装置、矯正用ろう着及び床装置修理である。
 厚生労働省としては、歯科診療報酬については、物価、賃金等の動向、歯科医療機関の経営状況、医療保険財政の状況等を総合的に勘案し、中央社会保険医療協議会における議論を踏まえ、必要な項目については重点的に評価するなど、適切に設定しているところであり、今後とも、適切な歯科診療の確保を図るため、中央社会保険医療協議会における議論を踏まえ、適切に設定してまいりたい。